空白のメモリー

洋の東西について、西はともかく東については、
明治期以降につきまして、文学史上に名を残すような小説はほとんど読んできた、


洋の東西を問いませず、
その黎明期以降、映画史に名を残すような作品はほとんど観てきた、


アタクシにとっては、それが人生最良の教科書だったわけで、
アタクシというニンゲンはほとんど、小説と映画と、残りは音楽で出来上がっているわけでありますが、


それは1980年代までのお話。


それ以降については、読んでないものもあれば、観たことないものも多々ありまして、
ヘタすると、読んだことあるもの、観たことあるものでも忘れている場合がございまして、


もはやすでに、蒐集癖というものから足を洗いかけておりますので、
本も映画もCDも、手元に置いておきたいという欲望はさほどなくなっているのではありますが、


DVD1枚が、数百円から千円台というご時世ですゆえ、借りに行くくらいなら買います。
という具合で、ネット買いしちまうわけですが、買ったもの、なかなか観ないで積んでる状態になってしまうのですが、


ビリー・ボブ・ソーントンなる男が原作・脚本・監督・主演を致した"Sling Blade"
レビュー読んで、これは観なければ、と思って購入。


してから、ん?これ、前に観たことあるのではなかろうか?あるんじゃないかな?と思いながら観たところ、


相方は「観たよこれ」と言うのだが、オイラも観たことあるよーな気もするのだが、
観てるうちに思い出すだろうと思いながら観ていたのだが、「観た」という記憶がまったく蘇ってこないという……(爆)


恐らく、上映時期からすると、DVD以前のVHSの時代にレンタルして観たのだと思われるのでありますが、
とんでもなくつまらん作品ならまだしも、観たはずのものを覚えてないというのは、一体なんなのか?


「観た」という相方、当時の記憶を遡って、
「刑務所から出てきた女の子が、とある村に落ち着いて、ジョニー・B・グッドがどーたらこーたらいう映画と同じ頃に観た」
と、仰る。その作品もかなり印象深かった。と、仰る。


オイラもその映画は、覚えていないではない。だが、タイトルがわからん。監督もわからん。役者さんの名前もわからん。
なので、幾つかのキーワードでググってみたら、


"この森で、天使はバスを降りた"という邦題の映画だった。これは確かに観たような気がする。観たと思う。
いい映画だったような気がする。


のだけれど、細かいことほとんど覚えておりませず、中古で千円切っているので、またぞろ購入。


致したので、観ることになると思いますが、こちらは観たという記憶はございますので、
見始めたら、「おーおー!」ということになると思うのですが、


一度観ている筈の"Sling Blade"、覚えてなかった自分に驚きつつ、悪くない作品でございました。


にしても、


どうやら、90年代に読んだり観たりしたものの幾つかは、オイラの記憶の引き出しの隅っこの方に追いやられていたり、欠落脱落しておるらしく、そこだけが消しゴムで消されてしまったか、白いペンキで塗りつぶされているか、鍵のかかった引き出しに封印されているらしく、


その頃のオイラ、ま、いろいろあるっちゃありましたが、


どうにも、それが不思議……。