「け」には「く」

ニンゲン、寒くなってくると動作が緩慢になる。


だからかどうか、


手やら足やらに怪我をしている生徒が目につく、


でもって、


集団としてのテンションが、目に見えて低い。やる気に乏しい。


ま、それは普段からやる気に満ち溢れているわけではない「授業」だからだと思われ、
しかも、今読んでいるのが「漢文」だから尚更なのだと思われるのではありますが……。


アタクシ、若き日の一時期を東北地方で過ごしておりましたのですが、
寒冷地に住まう人々の言葉数が少ないことを象徴的に示す笑い話あって、


「どうぞお召し上がり下さい」〜「ありがたく頂戴致します」というやり取りが、


北の地にあっては、


「け」〜「く」


で、完結してしまうというもの。


わかると思うのだが、わからぬ人のために解説すると、
「け」=「食え」、「く」=「食う」という意味であります。


あまりに寒いと、口を開くのも大儀になるのであろ。


若き日の東北では、真冬でもパッチもタイツも着用せずGパン一枚で、凍り付いた路面を意に介さず、バイクで走り回っておったアタクシですが、


寄る年波、さすがに寒いのは身に堪えるので、


定年を迎えた暁には、


老夫婦ふたり、暖かな土地に移住して、余生をポカポカと過ごしたいと思うのだけれど、


この、果てしなく右下がりの稼業では、それも叶わぬ夢かと思うと、


大儀を超えて、もはや、難儀でござる。 あばば。