捜査員は二度ベルを鳴らす

ある日突然、


警察を名乗る連中が数名訪れ、同行を求められ、身に覚えのないことで逮捕される。
自宅は家宅捜索で、あちこちを引っかき回される。
留置場に拘留され、「汚れた手で子どもの頭をなでられるんですか」と自供を迫られる。


すぐ近くで起こっていた、カフカの小説のような話。


証拠の検証に時間をかけず、思い込みと決め付けで動いたずさんな捜査。
真犯人が映っていたはずの防犯カメラの映像は押収せず、保存期限が過ぎた現在は消去され存在していない。


コンビニの冷凍庫に入った店員、ピザ生地を顔に塗りつけた店員、客が裸でカウンターに居並ぶのを許した店、
その写真をSNSにUPしてUPされて、店員はクビ、店は閉店。


誰かが脚を滑らせたことを、とことんまで断罪したがる世相にあって、


脚を滑らせてもいないのに、ある日突然、ドアベルが鳴らされ、権力によって拘束されるという不安。
市民生活を守るために与えられた力が、市民の生活を脅かすという恐怖。


他人様の人生をかき乱し、ぶち壊しにした捜査員たち、
何をどう処罰されたのか断罪されたのかを聞かない。


署員はクビ、署は閉店。にはならない。