炒飯ラーメン、そして金魚

生徒たち夏休み、出勤してるが授業はない。よって、時間に融通が利く。


教師という仕事、昼休みちゅの、普段はあるよーで、実はなかったりする。


じゃによって、昼飯とゆーのは、空いてる時間に隙を見て食らう。掻き込む。
このことに、この仕事始めた数十年前、最初に面食らった。
極端なバヤイ、10時頃に昼飯食ってる人がいる。日によっては14時まで食えなかったりする。


いわゆる「昼休み」に飯を食える日の方が少ない。


で、オイラは、大概弁当持ち。弁当のない日は、どこぞで調達せんければならんのだが、
調達しに行く時間がなくて、往生する日もあったりする。


のだけんど、現在ただ今、夏休み。時間は潤沢にある。
で、この暑さ。弁当持ってってもいーのだが、タマには外に行くべ。


ちゅことで、ここ数日、近隣で外食。
「ぼっち飯」がイヤだという、年若い、ほとんど娘のような同僚を同伴。


1日目、炎天下の中、歩いた割にはコレという店見当たらず、「王将」でランチ。
〜 無難な味と値段。


2日目、近場に、知る人ぞ知る「蕎麦屋」があると聞いていたので、そこに突撃。
〜 味はいいけど、値段の割にボリューム不足。


3日目、美味そうなラーメン屋があるというので出かけたものの、見つけられませず、目についた「うどん屋」にイン。
〜 味も量もよかったが、お値段そこそこ。


4日目の今日、ひとりチャリこいで、ふらふら散策。
昨日の「うどん屋」の向こうに、場末感満載の「中華屋」を発見。
こーゆー場末な感じが費用対効果抜群であるに違いない。
と、入店。場末な感じがナイス。机上に、おすすめセットメニュー。
「日替わりランチ」、「サービスランチ」、「焼きそばセット」などようの中に、「炒飯&ラーメンセット」


「中華屋」というのは須く、「炒飯」と「ラーメン」が店の顔である。
とりわけ、「炒飯」を食えば、その店がわかる。通なヤツほど、お初の「中華屋」では、「炒飯」を食べる。
ちゅことで、「炒飯&ラーメンセット」650円也を注文。


冷蔵庫の上に鎮座している真新しい液晶テレビは、長崎の平和祈念式典の模様から、高校野球に切り替わっている。
待つこと数分、ボリュームは合格な「炒飯」と「ラーメン」がやって来た。


豚骨味のラーメンを一口。


不味い……。載っかってるもやし、ちょっと古いんじゃないかい?という感じさえする。


気を取り直して、炒飯を一口。


この店を選んだ自分のセンスのなさを恨んだ……。


恨みながら食い物を残さぬオレは、ラーメンのスープまで完食した。
常連と思しきリーマンやおじさんたちは、「日替わりランチ」や「サービスランチ」を貪っていた。
が、それも旨いはずはなかろうと思った。


結構、昔からやってそうな店だが、なぜにゆえに潰れないでいるのだろうか? と思った。


そんな、外食作戦大失敗に終わって、失意の中、職場に戻った。


仕事しながらの雑談で、金魚の話になった。旅行から帰ったら、死んでいたという話。
そりゃ、家族全員何日も家を空けて、餌もやらずにほっといたら死んじゃうでしょうという話。ひどすぎる。


で、思い出した。


前任校、生徒指導室の水槽の中、悠然と泳いでいた金魚のこと。
いや、金魚というには、もはや大きすぎるそいつ。どう見ても赤い鮒か鯉としか思えないそいつ。
一時は、オレが水の交換、水槽とポンプの掃除してやっておりましたなぁ。と。
汲み置きした水でなく、カルキ臭漂う水道の水をそのままジャブジャブ注ぎ込んでも、平気だったそいつ。


前任校離れて2年目になるが、まだあいつは悠然と泳いでいるのであろうか?


と、思ったオレ、


まだ前任校にいる知り合いに、徐にメールで尋ねてみたところ、


未だに悠然と泳いでいるとのこと……。


このバカでかい金魚、オレが前任校に着任した時にはすでに悠然と泳いでいた。
オレが着任する数年前の文化祭、あるクラスが「金魚すくい」をやったときの売れ残り、
数匹いた仲間を虐めて、生き残ったのがこやつだという話を聞いていた。


オレ、前任校に在籍9年。現任校1年と4ヶ月。こやつが水槽に放たれたのは更に数年前。
ちゅことは、確実に11年以上、ヘタをすると15年近く生きている。


前任校にいるモノの中で、最古参なのではないかと……。


しぶとく生き残るモノには、何か特別なものがあるのであろう。


きっと、今日のあの「中華屋」も、別のメニューだと……。


ん〜、もう一度入る勇気はない……。