大本営発表

鳩山由紀夫・前首相主催勉強会なるものをUstreamで見る。
http://www.ustream.tv/recorded/13826700


開催されたのは4月6日。お題は「原発事故取材の報告」。講師は上杉隆というフリー・ジャーナリスト。
鳩山邦夫の公設第一秘書だった人、鳩山由紀夫政権交代後に報道担当の首相秘書官か補佐官に起用する意向だった人だっつーから、民主党寄りの人間。
それが、鳩山由紀夫の横に座って菅政権を強く批判しているのであるから、裏がありそーな感じもないではないが、


オイラがあちこち嗅ぎ回って知ったこと知り得たことと同じこと言っていて、しかも、「そこまでやってんのか」ってこともあって、興味深かった。


信じるも信じないも、他情報と照らし合わせて、ほぼ事実と思われ。


見てくれりゃ話は早いんですが、フルに見ると1時間半(オレは見たけど)。
だもんで、ちょっと長いけどオレなりにおまとめをば。



既存メディアは、東京電力に肝心なことを何ひとつ質問していない。


東電は当初、「プルトニウム」という単語を使わなかった。質問されて初めて、東京電力は「測っていない。測る計器がない」と返答した。その質問があってから初めて、「プルトニウム」流出の発表があった。
海洋への放射性物質の流出についても、その汚染状況は繰り返し質問されたことによって初めて発表された。
それらの質問はすべて「フリーランス」の記者によってなされたもので、その手の質問をした既存メディアの記者は誰ひとりいなかった。
NHKで水野解説委員が「東京電力は情報を隠蔽しているのではないか?」という発言をしたが、それが既存メディアにおける東京電力に対する唯一の疑義であった。
既存メディアでは、御用学者(オレ注・東京大学は年間5億の寄付を東電から受けている)や御用ジャーナリストが「プルトニウムは安全です」というキャンペーンを繰り返している。
政府は、事実を報道しようとする人間を、「デマ・風評被害」を流す者として断罪し続け、東電の偽情報を流し続けている。


原発会見」は、1階の狭くて暗い、椅子もなくフリーランスの記者は入れないような場所で行っている。
それに引き換え、「停電会見」は、3階の広くて明るい場所で行っている。
都合の悪い質問をできるだけ排除するためと思われる。


放射性物質の海洋投棄による汚染」について、
海外からは、震災&津波に襲われた可哀想な国という見方から一転して、日本は今や「放射能を海洋にまき散らすテロ国家」として非難の矢面に立っている。
当初、「漏れていない」と言っていた東電は、その後「漏れている」ことを認めざるを得なくなったが、「低濃度である」という言い方をしている。


「低濃度」の根拠はほとんどなく、「計器がない」という嘘、「計測するのに時間がかかる」という嘘で、データを明らかにしていない。


巨大スポンサーである東電に寄り掛かっている既存メディアは、知り得た情報を流そうとするフリーランスの記者を、目に見える場所から消し去ろうと躍起になっている。
戦時中の「大本営発表」さながら、東電を批判し、本当のコトを伝えようとする記者を「不謹慎・非国民」と決めつけ、排除することに血道を上げている。


世界中が「危ない」と言っている中、日本の政府と東電の息のかかったメディアだけが「安全です」と言い続けている。


海洋に流された「セシウム」が海洋生物の体内で濃縮されていくことが今の最大の問題であり、それは日本国内の問題だけには留まらない。


日本から見た時、福島は東北の一地方に過ぎなくても、世界から見ると福島は日本そのものである。
チェルノブイリの村で穫れた農産物を、スリーマイル沖で穫れた魚を、日本人が好んで食べるかどうかを考えてみるとよい。日本で穫れた農産物を、海産物を、もはや世界は欲しがらない。


日本人は、世界的な犯罪者としてのレッテルを貼られていると考えた方がよい。
「犯罪国家」と見なされるに至ったこの国にあって、「犯罪行為」を犯した現在の政権が政治を動かす限り、日本が海外から信用を取り戻す術はない。


東電の「計画停電」は、完全なプロパガンダである。
東京電力がないと市民生活はこれだけ困るのだぞ」という脅しと権威づけのために行おうとしたもの。
「火力発電所」には、休眠させているが稼動しようと思えばできるものが多数ある。
民放テレビ各局は、CMを流し、節電を訴えながら、終日電力を使って放送を続けている。
テレビ局の消費する電力はかなり大きいが、それを規制しようとする動きはない。


各メディアは、夏場の電力不足を誇張強調しているが、それもすべて嘘。止まっている火力発電を稼動させれば(或いは現状のままでも)、電力は不足していない。


海外各国は、この事態の中、選挙を行っていることそのものを呆れている。


アメリカは、原発事故を知った直後に「冷却剤」を貸そうと申し出たが、政府はそれを断っている。
福島原発を即廃炉にしたくないという東電の思惑に従ったからだと考えられるが、それが事態を悪化させている。
地震津波による被害の状況についての報道も、政府の出したものをそのまま流すだけで、それによって救助の初動も立ち後れた。


原子炉の内部が現在どうなっているかについては、実際のところがわからない。10年の時を経過しないと肉眼で見ることはできないと思われる。
3月14日の爆発を衛星から捉えた映像には、臨界事故に特有の「青い光」が映っている。
原子力安全基盤機構(オレ注・経済産業省所管の独立行政法人)」に属するエンジニアが、「2号機の周辺は近づくだけで即死する」と言っているのを聞いた者もいる。


3月14日17時の炉圧7.403。19時の炉圧0.63(大気圧以下)。このデータが示すのは、14日に爆発があったこと以外の何ものでもないのだが、既存メディアはそれを報道していない。
3月23日12時、3号炉の給水ノズルの温度が304度。24日以降は、調整中としてデータは発表されていない。


東電の「嘘」は、国民の命、国家の存亡にかかわる問題であるのに、未だに東電の流す偽情報に政府は振り回されている。



そして「レベル7」。


にして、この危機感のなさ……。


まるで、戦時中と変わらない。
騙されている国民が、妙に「ひとつになろう!」的ムードを醸し出し始めているのも、戦前の空気に似て気味が悪い。


「不謹慎」の声が、「非国民」という罵声に変わる時が来ないことを祈る。マジで。