風化

昨年末、


朝に夕に通過する歩道の真ん中、黄色い点字ブロックの上に、猫の轢死体が放置されていた。
恐らくは車道で跳ねられた猫を、誰かが歩道に移動したのだろう。


どこかの誰かが、然るべき所に連絡し処理されるだろうと思っていたが、
そのまま、晴れの日も雨の日も雪がちらつく日も放置され続けていた。


それを知るオレは日々、不覚にも命を落とした猫のこと悼みつつ、その脇を通過していた。
それと気付かぬまま、自転車や自らの脚で踏みつけた人、数知れずいると思われる。


猫は、日に日にその肉を細らせ、毛皮となり、
今日、目をやると、それはもうそれがかつて猫であったことなど全くわからぬ、路上にこびりついたボロ切れのようであった。


猫であれ人であれ、命なんてそーゆーもんだよな。と、リアルに思った。


猫も人も、偏に風の前の塵に同じ。