生きてる実感て、どんな感じ?

サガラ邸に転がり込んで、朝。

差し迫ってやらにゃならん仕事あるわけでなし、休んでこましたろかと思っていたが、どーやら間に合いそうなので、オレはそのまま職場に、カミさんウチに。

行きも帰りも地下鉄車内の顔という顔、老いも若きも、ことごとくイケてない。

どぶねずみ色のスーツ着たオヤジは、面白いことなんにもないよにくたびれている。
真向かいに座ったオババは、新興宗教の広報紙熱心に読んでいる。
隣に座った若いリーマンは、会社の後輩と思しきネーちゃんに気があるの見え見えで、大股開いて座りくさって、雑誌の釣り広告指さしながら、誰それってオレの高校の先輩の同級生やねんに始まって、好きなタレント嫌いなタレントのあれこれについて語ることで、オレはこーゆー男やねんイケてるやろオレ?と自分をアピールしている。ネーちゃんはネーちゃんで、男の下心見えてるのか見えてないのか、くだらん話、興味深げに聞いている。
向こうのシートに座ったケバい女は、人目はばからず化粧に余念がないが、いくら塗りたくったところで無駄だと思われる。

ざーっと見回したところ、車内には魅力的に映る人物ひとりとしておらん。
知性やら教養やら理性やら、そーゆーものがカケラも感じられない。
己の損得しか考えていない考えられない顔、顔、顔。

この、人の生気を奪い取るような沈滞しきった気配ってのは何なのか?
長引く不況のせいだと言うのはたやすいが、それだけではないよな気もして、
あー、こーゆー人々が選んだ誰かが、この国の都道府県の市の町の村の政治動かすヤツ選ぶのだから、ろくなコトになるはずがないと腑に落ちる。

昨夜のBARのこと思い出しながら、
バンドマンたちの方が、なんぼか生き生きしてるよな。と、思う。

かくいうオレはどーなんだろ?と、不安になって、窓ガラスに映る己の姿眺めてみたが、
やっぱ、なんぼかマシなよーに思った。自画自賛

オレにしたところで、仕事好きでやってるわけじゃない。
金が欲しくて働いて、でも、眠るだけにはしたくない。

医学には興味あったが、DNAいじくり回したり、できないコドモ無理やり作ることには興味ない。
物理学に興味あったが、核兵器作りたいとは思わない。
占領やら独善やら、人が人を支配してきた歴史にはひとかけらの興味もない。
哲学に興味あったが、哲学で、世の中人の生き方変わらない。

文学やら芸術の方が、人の心に与えるチカラ大きいと思っているが、
結局は、その端っこ隅っこにぶら下がり生きてるだけで、
今の職場じゃ、文学や芸術ほとんど語っていない。語れない。

なぁ〜んも考えとらんボンクラなガキどもに、ガン飛ばされたり喧嘩売られるくらいなら、
BARのマスターやってた方が余程、世の中のため人のためオレ自身のためになるよーな気がするが、

今さらそんなこと言っても仕方ない。

だからバンドやってんのかも知れないなと思った次第なり。

生きてる実感て、こんな感じぃ。