世論

職場でひとりの同僚が、

「派遣切り派遣切りと、なぜあんなにマスコミは騒ぐんやろ?元々、そういうことが前提で働いてるわけやん?知り合いと話してたら、みんなそう言うてるのに、マスコミはそういうことを何で言わんのやろ?」

と、言い出した。

呆れる。という以前に、途轍もなく悲しかった。悪い冗談かと思った。

製造業への派遣を解禁した小泉のしたことは、「産業振興のために、人を人として扱わず使い捨てのできるモノとして扱うことを国家が推奨する」ということ。
勿論、モノとして扱われることを余儀なくされる人が少なからず存在するということが前提となっている。

そして、「我こそが世論である」と思っている人々の多くが、
派遣で働く人は、それぞれ個々の事情はあるにせよ、所詮は努力を怠ったがゆえに、敗者となった人たちであり、それは突き詰めれば自己責任・自業自得である。と、思っているということ。

この世界は、自由競争の社会です。努力すればきっと報われます。など言いながら、
実は、スタートラインに立った時点で、ある者は「1億円入りの鞄」を持っており、ある者は「手ぶら」のままで号砲を聞かされているということを、知らないのだろうか?

「派遣切り」の何が問題なのか?
それは、人が人を使い捨てにするというあり方がおかしいから。That's All.

能力やスキルの低い者は、地べたを這いずっていればよい。

あなたは、本当にそんな風に思っているの?


【追記】
村上龍がTV番組で「派遣切り」について喋っているところをYOU TUBEで見た。
「資本主義なんだから仕方ない。マスコミが企業を悪として、労働者側に偏った報道をすることが解せない。国民の総意が資本主義がダメだというなら、社会のシステムを変えればいいけれど、現状、派遣切りは仕方のないこと」と、『13歳のハローワーク』の著者は言う。
オレはねぇ、「資本主義こそが正しい」などこれっぽっちも思ってないわけで。
かといって、修正社会主義が正しい道を開くとも思えないけれど……。