運命か偶然か
「運命」などと人が言うものは、
それが劇的なものであればあるほど、それを仕掛けた何者かの存在を疑ってみたくなるのでしょうけれど、
「出会い」も「別れ」も、すべては偶然の産物、偶然の織りなす綾。
春は「出会い」と「別れ」の季節というけれど、
もうじき一歳になるウチのチビふたりは、元々、オレでも相方でもない別の知人が見つけて保護したものだった。
サバトラの、どうやら目の悪い女の子と男の子。
まだ乳飲み子のいる知人は大変だろうと、お互いに里親捜して見つかるまでと、相方引き取ったが、
血液検査で、白血病FeLV陽性、おそらく母子感染。女の子の方はやはり全盲と思われ、
こうなると、引き取ってくれそうな人を探すのは難しい。
かといって、初めに保護した知人に、「じゃ、あとはよろしく」と押し返すわけにもいきませず、
ウイルスキャリアでも、ストレスなく過ごせれば発症しない場合もある。
先住たちにはワクチン投与すれば、一緒に暮らせないこともないだろう……。
と、ウチのコになってもうすぐ一年、
男の子、どうも二、三日喉が苦しそうなので、診てもらうと、「リンパ腫」の診断。
迂闊だったが、白血病キャリアのコは、白血病発症しなくても、「リンパ腫」になりやすいとのこと、あとで知る。
治療を尽くしても万に一つも助かる可能性はなさそうだが、医療行為を施さなければ、1ヶ月保つか保たないか、
肺の「リンパ腫」、要は「肺癌」、大きくなれば息が苦しくなっていく、地上にいながらにして溺れていく……。
「抗ガン剤」の投与によって「寛解」し、見違えるほど元気になることあっても、再発はまず免れないといわれるけれど、
延命云々以上に、つらさ苦しさを回避するイチバンの方法は「抗ガン剤」の投与であろう、ということで、治療を始めた。
そして一週間、
女の子の方も後を追うように調子が悪くなり、食欲はあるのに食べたものを吐き戻す。
先の診察で、このコはダイジョブでしょう、と、点滴をして胃薬もらっていたけれど、改善致しませず、
本日再度受診し、検査を致したら、兄とおんなじ病でした。
仲良し兄妹とはいえ、そこまで真似しなくてもいいのにね……。
兄ほど体力のなさそうなちっちゃい妹ですが、兄と同様、十日遅れで「抗ガン剤」治療に突入。
一旦は引き受けてくれそうになった人のところに行っていたら申し訳なかったよね。
という思いと、
一時預かりとは言え、どうしてあの時、知人から引き受けたんだろな。
という思いと、
短い命になりそうだけれど、世の中は不公平ですけれど、
ウチに来たからには、
最後まで、できるだけ痛くないよう、苦しくないよう、過ごせばいいぞ。
という思い。
都民から吸い上げた金で、一泊20万円の出張を平気で致すようなお金持ちは、
どこでのたれ死んでいたかもわからぬ野良猫の癌の治療にお金出すような真似はしないのでしょうけれど、
自宅を離れて暮らす大学生のコへの学費と仕送りよりも高くつきそうな治療費を、
治る見込みもないのに、出しましょう。いつまでかかるかわからないけど、出すしかないだろ。
と、決めたオレと相方は、
ま、世間的には、バカなんだろう。
バカとバカが出会ったというのは、偶然なのかしらん?
やっぱり、運命ってあるのかしらん(笑)
いつまで頑張れるかわからないけれど、
そんなパンクな我が家は、冗談抜きに、
家計が早晩パンクすると思われます。
付き合い悪くて申し訳ないですが、
お遊びのお誘い、当分の間、致さないでくださいまし。
あばば。