すみっコぐらし
意外に思われることもございますが、
ヤンキー御用達の「キティちゃん」こそ、ボクの中の「ゆるキャラ」の範疇に入ってはおりませず、何の興味も関心もありませんのですが、
「ゆるキャラ」好きである。
ま、基本"San-X"なのですが、「リラックマ」なのですが、「かものはしかも」などいうのも好きでありまして、
我が家には、あちこちにぬいぐるみやグッズが転がっております。
それが、我が家に小中学生女子を招き寄せるひとつの要因なのかも知れませんのですが、
ただただ騒がしいだけの彼女らも、たまにはいいこと教えてくれるわけで、
"San-X"に当方のあずかり知らぬキャラが登場しておったこと、彼女ら経由で知りました。
「すみっコぐらし」と名付けられた世界に集うものども。
さむがりでひとみしりの「しろくま」
昔は頭におさらが載っかっていたかもしれない緑色の「ぺんぎん」
いつかきっと、花屋さんでブーケにしてもらうというゆめを抱いている「ざっそう」
はずかしがりやの「ねこ」
あぶらっぽいから残された「とんかつ」のはじっこ
同じくかたいから食べ残された天ぷらの「えびのしっぽ」
実は恐竜なのだが、世を忍んで生きている「とかげ」
実はなめくじなのにカラを背負ってる「にせつむり」……
単独の作者なのかどうなのか、"よこみぞ ゆり"名義の
キャラブックがございまして、読んでみたのでありますが、
先の者ども、
ひとり残らず全員すべてが、「社会生活不適合」な「マージナルマン」。
端っこに、隅っこに、我と我が身を追いやりながら、日々を粛々と送っている。
誰からも注目されることなく、注目されることを避けながら、こっそりひっそりと日々を過ごしている。
そんな丸っこい彼らの姿はいとおしい。
彼らのことを可愛いとかいとおしいとか思える感性を持ち合わせているのなら、
ま、ウチにやってくるコドモらも、何とか大丈夫かも知らん。
と、思うのではあるけれど、
造形されたキャラクターとはいえ、こういう者どもに対して共感したり愛情を抱いたり致しながら、
その一方で、時代の流れの中で、強い者、勢いがあると思われる者どもの尻馬に乗って、
理不尽な弱者いじめに熱中している者もいるのかしらん? と、思う。
村上春樹氏の小説はほとんどすべて、
「すみっコぐらし」のキャラたちのような、「マージナルマン」の生きづらさや孤独を描いているのだけれど、
そんな小説がベストセラーになっている一方で、
昨今、愛というのは集団的熱狂と背中合わせになりつつあり、その裏で憎悪と嫌悪と排除の声に満ちているわけで、
「すみっコぐらし」を愛でているからといって、安心はできないかも。ですかねぇ……。