聞かなかったこと

最近、とんと見なくなったテレビドラマ、
なのだが、何となくタイミングが合って見ているNHKの『八日目の蝉』。


愛した人、妻のある人、その人の子を身籠もったが堕ろした人、
そのことによって、子を産めない体になり、その人の子を誘拐して逃亡生活を送る女。


我が娘として育てている子に読み聞かせする絵本が、新美南吉「手袋を買いに」。


「ぬくとい母さんの手で」の「ぬくとい」という単語、温かくて心地良い。


オレは父親も母親も、ある時分から、ある部分で見限って生きてきた親不孝モンだが、
幼少時、寝床でお袋が語り聞かせた「お話」を、覚えている。


子狐が母にはぐれて、迷子になって、帰れなくなって、「こーん、こーん」と悲しく鳴く「お話」。


この上なく悲しくなって、寝床にあって涙した「お話」。


お袋の創作だったのだろうが、なぜにゆえに、こんな悲しい話を繰り返しオレに聞かせたのか。


どーゆーつもりだったのか、今はこの世の者でないお袋に、


尋ねるの、忘れた……。


親の有り難み、幼い頃から刷り込もうとしてたのだろうか?


だとすれば、逆効果、だったと思うよ……。