そんなに遠くない世界の話
日がな積み重ねているセンター試験の過去問。
2012年の追試の小説、
三浦哲郎の『メリー・ゴー・ラウンド』抄
2年前に妻を事故で亡くした男、自身も腎臓を患って、幼い娘を抱え、途方に暮れる。
娘が欲しがっていた人形や服を買ってやり、動物園、遊園地に連れ出して、
死に場所を探すが、決意するその時に、娘が思いがけぬ言葉を口にする、或いは、目覚めて思い止まる……。
震えながら横になる父親の背に、幼い娘は寄り添う。
いい小説、だけど、暗くて重い。
共通一次時代に出題された『鳥寄せ』も、暗くて重い。
あまりに暗くて重いから、授業で扱いたくないという教員もいる。
けれど、
作中の父親の心情は、言動を通してしか表現されないので、父親が無理心中を企て、娘を連れ回している。ということ、
小説をほとんど読んだことのない、活字文化に慣れていない、ぼんやりした高校生には、読み取れなかったりする。
それぐらい、読み取ってくださいね。と、思うのですけれど、
正確に読み取れていない生徒さん、ウチの職場でも、実は、そこそこいる気配……。
で、職員室で、
このガッコの生徒たちって、こういう世界とはほとんど関係ないところで生きてますよね。
などようのこと言っている、オトナである教師自身も、こういう世界とはほとんど関係ないところで生きてきている。
ボクは、
小学校低学年の時、
右隣の布団で横になっている母親から、「もう、母ちゃん、明日の朝は目が覚めへんから、薬飲んだから」
と言われて、泣きながら、ガーガー寝ている父親を叩き起こしたことや、
何が原因だったか忘れたけれど、
父親と喧嘩した母親が、石油ストーブの上で湯気を立てていた薬缶の取っ手を掴んで投げたのが、
父親ではなくオレの背中に直撃して、右肩から背筋にかけて大火傷したこと、
ありましたよ。火傷の痕、今でも残ってますよ。
という話を致しましたら、ちょっと引かれてる気配がありました。
が、ボクはそういう家庭で育ちました。
若き日のボクは、文学と音楽と映画によって救われました。
今でも、文学や音楽や映画で、救われる連中、いると思うんですけどね。
というわけで、ボクは、
ボクを救ってくれた、
文学を語ることを仕事で、
ボクを救ってくれた、
音楽をプライベートでやっております。
ちゅわけで、
出番、来てくださる皆さまには申し訳ないのですけれど、
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