狂ってないのは誰?

愉快な話のひとつでもあればいいのですけれど、
個人的にも世間的にも、愉快な話はほとんどございませず、


本日8/9付の、産経新聞「正論」


長々書いてはあるものの、ざっくりまとめると、


  内閣支持率が下がったのは、野党と左翼メディアの陰謀であり、ここで改憲を躊躇するのは反対派の思う壺。
  早急に改憲を行い、「自衛隊」を「軍隊」として位置づけ、社会的な地位を向上させねばならない。
  反対派は、今後もあらゆる手段を用いて改憲を阻止しようとするだろうが、この戦いに勝利できなければ、日本の将来はない。


たったのこれだけ。冒頭で陰謀論を述べる辺りの幼稚さと拙劣さには開いた口が塞がらないのですけれど、
これを書いた、百地章という方、肩書きは憲法学者ですが、


静岡大の学生時代は、新興宗教生長の家」の熱心な信徒として、生長の家の学生組織「生学連」の運動に没頭。
70年安保学生運動華やかなりし頃、「生長の家」の学生運動は各地で左翼セクト学生と対峙、ついには「民族派全学連」を目指し、「全国学協」が結成。
百地という方、これに参画、活躍されていた方であるわけで、


その後、「生長の家」の左傾化に反旗を翻し、分派。
生長の家は愛国運動であるべき」、「生長の家谷口雅春先生(「生長の家創始者・初代総裁)の個人崇拝を進めるべき」と主張。
その後、「日本会議」の政策委員を歴任し、現在は安倍晋三のブレーンの一人と目される。


というわけで、要は、このおじさん、カルト宗教に帰依している極右の活動家です。
そして、あろうことか、現行政府内閣の構成員の大半が「日本会議」のメンバーです。


で、元々「生長の家」由来である「日本会議」の目標とは何かというと、


「誇りある国づくり」
1.男系による皇位の安定的継承を目的とした皇室典範改正
2.「押し付け憲法論」に立ち、歴史と伝統に基づいた、新しい時代にふさわしい新憲法の制定
3.学校教科書に於ける「自虐的」「反国家」な記述の是正、大東亜戦争は、米英等による経済封鎖に抗する自衛戦争であった
4.行きすぎた「権利偏重の教育」の是正
5.「ジェンダーフリー教育の横行」の是正
6.国旗掲揚・国歌斉唱運動の推進、「国旗国歌法」の制定
7.教育委員会制度の改革
8.自衛隊法の改正等による「有事法制」の整備と、統帥権独立させない文民統制のされた国防軍の発足
9.内閣総理大臣靖国神社公式参拝実現
10.夫婦別姓法案への反対、男女共同参画条例への反対
11.外国人地方参政権に反対、「人権機関設置法」に反対、「自治基本条例」制定に反対


おわかりでしょうか?


安倍晋三が広島長崎で「核兵器禁止条約」に言及しないのは、
国防軍の発足と、それにともなう徴兵制の復活、そして、核兵器保有を視野に入れているからに他なりません。


天皇崇敬を掲げ、民族差別や女性蔑視という側面を多分に有している偏向したカルトな愛国ナショナリスト団体がこの国の政治の舵を握っています。
そして、産経新聞、読売新聞といったメディアは、権力の横暴を監視するという本来のメディアの目的を忘れて、カルトな人々のご用聞き、スポークスマンと化しています。無論、同じグループであるフジテレビ、読売テレビも同じ穴の狢。NHKにも権力の手が及んでいる。


大新聞社が、昔からそういう傾向は強かったとはいえ、
カルトに帰依している極右活動家の言説を「正論」として、社の意向を代表するものとして掲載しているのが今という時代です。


そのあたりのことをわかっていて産経新聞や読売新聞を眺めている人はまだしも、
何も知らぬまま、自分のアタマでものを考えぬまま、たとえばこの百地氏の書いた「正論」を読んで納得してしまう人がたくさんいるとしたら、


本当にこの国は、カルト集団が望んでいる戦前に回帰するのかもしれません。


この人たち、根っ子のところで狂ってるんですけど。


みんな、本当にそれでいいんですかね? それが望むところなんですかね?