自由の国とはよく言うぜ

先の選挙で、「自民党」を圧勝させた人々がすべて、


原発再稼働」への積極的な賛同者だったり、「憲法の改定(ボクは間違っても改正とは言わない)」を支持する者だとは思わない。


大半は、ただぼんやりと、


「経済が発展して景気が良くなればいいな。ひいては自分の生活水準も上がればいいな」
民主党はもうダメだから自民党だろやっぱり」と、何が「やっぱり」なのか、「さっぱり」わからん理屈をもって一票を投じただけなのだろうと思っている。


原発」再稼働に反対なら、「憲法改定」に反対なら、「秘密保護法案」に反対なら、
或いは、よくわかっていないなら、
先の選挙、「自民党」に票を投じてはいけなかったのに、投じた人が多かった。


そういった人々の、意志とも呼べないようなものが、「民意」という形を取って、
原発」は再稼働を、「憲法」は改定を、「特定秘密保護法案」の成立も、「民意」が賛成支持しているという形で動いていく。


原発」を動かし続けることで生まれる「産業効率」や「経済効果」と、
劣悪な環境で働くことを余儀なくされる原発労働者の存在を前提としている現状や、処理する術のないまま吐き出され続ける廃棄物が未来に及ぼす「マイナス」を秤にかけて、
それでもなお動かし続けることを選ぶのは、何をどのように考えてみても、動かすことで自分がそれを動かすことで直接的に利することのできる者だけだと思うが、
そう思わない人、考えてもみない人がいることが不思議でならない。


憲法」をいじくり回したい者どもが、何のためにそれをやりたがっているのか、
「戦争」できない国のままでいることと、「戦争」のできる国にすることとどちらが良いのか、
何をどのように考えてみても、「戦争」ができない国のままでいる方が賢明だと思うが、
そう思わない人、考えてもみない人がいることが不思議でならない。


憲法」の改定、強行するのは対外的に厳しくなり頓挫したから、代案として出てきた「特定秘密保護法案」
そもそも何のためなのか?法案を提出した者どもが、その意義や意図をまともに説明していない。


「経済が発展して景気が良くなればいいな、ひいては自分の生活水準も上がればいいな」という「民意」の望みを叶えるべく、


政権党は、「経済発展を唯一単独の国是とする国家体制への改組」を目論んでいるのでありましょう。
それが「民意」であるなら、文句ないでしょ?という理屈で。


改憲」も「特定秘密保護法案」も、この目標に近づくため現実化するためと考えれば話は早い。


「経済発展」を唯一絶対の国是とするならば、
社会システムは、経済発展に利するか否かを基準に構成される。経済発展に利することのない制度は縮小、或いは廃絶される。


弱者救済のための諸制度は切り捨てられる。それは「経済発展」において無駄なことであるから。
自分でなんとかしてね。というシステムに切り替わる。すでに切り替わり始めている。


「経済発展」への道を求め、この国はどうやら、
ひと握りの経営陣に権限や情報が集中する上意下達システムによって効率的に機能する「国家の株式会社化」を進めようとしているらしい。
内田樹氏はそれを、「日本のシンガポール化」と呼ぶ。


従業員の過半数の賛成がないと次の経営行動ができないような会社は存在しない。
よって、「国家の株式会社化」を目指すことは、デモクラシーの廃絶を意味する。


自民党の「改憲素案」が、「基本的人権」を毀損する、或いはほとんどそれを認めない形になっているのはなぜか?
その代替案として現れた「特定秘密保護法案」の成立を急ぐのはなぜか?


国政ではない、都政にして、
「あー、知事選出るんだ。応援しますよ。がんばってね。当選後はよろしくね」
と、五千万くださる方がいて、頂戴する人がいる世界。


「民主主義」は、効率の良い「金儲け」の妨げになると考える人が、
この国の「持てる者ども」の中に増え、そういう者どもの意志を反映するために国政は動いている。


「民主主義」と引き換えに、手に入れようとしている「経済発展」によって潤うのは、


「経済が発展して景気が良くなればいいな、ひいては自分の生活水準も上がればいいな」
という寝ぼけたアタマで一票を投じた庶民ではなく、


「庶民」は、何も言わず、アタマも使わず、働き給え。老後のことまでは面倒見ませんから、自分で何とかしてね、できるでしょ?
と思っている、人口全体からすると、ほんのひと握りのグローバル企業の「経営陣」と、彼らの利潤追求に手を貸す「政治屋」。


政権党の名称が「自由民主党」ということが、


もはや、悪い冗談としか思えない……。