「茶色の朝」を迎えぬために
英語科の同僚が、
「この本、ご存じですか?」と、差し出してくださった絵本。
「からすプロジェクト」というイベントの立ち上げ人のひとりでありながら、
お恥ずかしいことに、存じておりませず、
「すぐに読めますから」と仰るので、
『茶色の朝』
お借りして、読みました。
日本版では、巻末に高橋哲哉氏がメッセージを寄せている。
著者フランク・パブロフは1998年、人種差別と排外主義を掲げた極右、ジャン=マリー・ルペンが政界で躍進したことに対する抗議として、この寓話を書いたという。そして、2002年の大統領選挙で、その極右政治家が決選投票に残るという事態に危機感を抱いたフランス国民の多くがこの本に注目し、フランスでベストセラーとなったという。
恥ずかしながら、この絵本のこと、今日の今日まで存じませんでした。
著者は、著作権を放棄しているとのことなので、全文が、違法ではなく、「ここ」から読めます。
あの、映画、『バッファロー'66』を監督・主演したヴィンセント・ギャロの挿絵はないけれど、
ギャロには申し訳ないけれど、それは大きなマイナスではないと思います。
あれこれご託は並べません。僕と同様、知らなかったという方は、どうぞ、読んでみてください。
日本版にメッセージを寄せた高橋哲哉氏へのインタビューも、ここで読めます。
「茶色い朝」を迎えないために、僕たちひとりひとりがなすべきことは、
流されないこと。自分のアタマで考えること。それしかありません。
まぁ、いいんじゃないかな。僕には、私には、直接関係なさそうだし。
と、流されながら、おかしいなと思ったことについて立ち止まって考えず、声を上げるのを止めた時、
目覚めると、そこに「茶色い朝」が待っています。
まだ、手遅れではないことを願います。