枕よりオチが素敵と思いたい

十代後半にド嵌りして以来、


枝雀フリークでしたから、


師匠が健在の折には、ちょくちょく「米朝一門会」に出掛けたりしていたわけで、


『青菜』や『代書屋』や『延陽伯』や『崇徳院』や『壺算』あたりは、レコード擦り切れるほど聴いたので、
ちょっとおさらいすれば、全てをなぞれるぐらい(爆)


米朝師匠も、iPodに「米朝百選」入れてるぐらいには落語好き。


ここ最近は、生の高座から足が遠のいておりましたから、高校生対象の「落語鑑賞会」とはいえ、
生徒たちと一緒に、ちょっと楽しみに行って参りましたのでした。


桂かい枝さん、つかみというか枕の、歯に衣着せぬ学校公演でのあれこれ、大変面白うございましたが、
本題の方の新作は、ま、そこそこ(笑)。


桂雀々さんのつかみは、ご老人相手の高座のあれこれ。ご老人を笑い者にする内容は、心の底から笑えませず、ちょっと痛うございました。
本題の方の『動物園』は、オーバー気味のアクションが、枝雀師匠を彷彿とさせるところがあって楽しめましたのですけれど……。


なんだか、どうにも、不特定多数の高校生が相手だという、「やっつけ仕事」感がなきにしもあらずに思われ、


寧ろ、そのあとに登壇して、「お囃子」の紹介された喬介(?)さんや、
太神楽、曲芸を見せてくださった、ラッキー舞さんの方が、「聴いてね見てね」感が真摯に伝わってきて好感度高かったのでした。


太神楽なる曲芸、何がどうなると、こういう世界に足を踏み入れようと思うことになるのか、興味を持ったので、ググってみたら、
両親の跡を継いでの曲芸師さんだったということ知って、あーそーだったのね、と、腑に落ちるやら落ちないやら。
舞台上での舞さん、とてもキュートでございました。ググって年齢知って、ちょっと驚いたのでした。


で、オオトリの、福團治師匠、御歳77歳で、この暑さの中、
老練というか、老獪というか、「食う」演技を、存分に、ふんだんに、素敵に見せてくださったのではありますが、
『饅こわ』という噺が噺だけに、枝葉のところで独自の演出があるとは申せ、


もそっと「通」好みの、「粋」な噺をしてくれても良かったのになぁと、やはり思わざるを得ないのでした。


噺家さんになろうとする人、太神楽の舞さんのように、親の跡を継ぐ形でなる人もいないではないけれど、そちらの方が少ないわけで、
人生のどこかで落語に出会って、その魅力に取り付かれてその世界に足を踏み入れる人が大半なわけで、


今日のこの日が、目の前にいる高校生の誰かにとって、「その日」にならないとは限らないわけなのに、
舞台から、そういう意識が、気概が、もひとつ感じられなかったのが、


ちょっと残念なのでした。


ん〜。