読み聞かせ

先週末の話、


喘息の薬が切れかけていたので、最寄りの町医者へ。


そこそこ込んでいる待合い室。


ボクのあとから訪れた、ふたりの子を連れた夫婦。


長男の方が熱っぽい感じ。


待合室に置いてある絵本を開いた長男に、父親、それを読み聞かせ。


  むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
  二人には子どもがいなかったので、おじいさんとおばあさんは神さまにお願いしました。
  願いが通じたのでしょうか、小さな子どもが生まれました。けれど、その子は大人の小指ほどの大きさしかありませんでした。
  ふたりは、一寸法師と名付けて可愛がりましたが、その子はいつまで経っても少しも大きくなりませんでした。
  ある日、一寸法師は、都に行って働きたいと言い出しました。
  ふたりは止めるように言ったのですが、聞き入れません。仕方がないので、針の刀とお椀の舟を用意して一寸法師を送り出しました。
  云々……。


待合室だから声量小さめなのですが、余計な感情を込めず淡々と読むのですが、


お父さんの朗読、端で聞いていて、達者なのでした。お主やるな。という感じなのでした。


どうして一寸法師という名前なのか、都というのがどんな場所なのか、幼い長男はわからないだろうけれど、


熱っぽくてだるそうにしている長男、絵本に見入っていたのでした。


そばでまだ乳飲み子の弟を、母親があやしていたのでした。


この子たちは、まっとうに育っていくだろうな。


こうやって育っていくというの、よろしいね。


と、思ったというお話。


オチはありません。


どっとはらい