此岸と彼岸

学校というところには、「図書館」というものが設置されておりまして、
学校によっては、ほとんどそれが機能致していないところもございますのですが、


ウチの職場では、曲がりなりにも一応、機能致しておりまして、
各クラスから名乗りを上げてくれた委員さんたちの尽力工夫に支えられて運営されているのですけれど、


アタクシ、そんな場所の担当者のひとりなのでありますけれど、


学校図書館」には、各出版社からのお知らせやらパンフレットなどようのものも送られてくるわけで、


自身が高校生の頃、垂涎だった、各出版社が出している文庫目録。
中でも、新潮社は、一般的な文庫目録の他に「新潮文庫の100冊」などようのものも出していて、
読んだ本に、チェック入れていったりしていたのですけれど、


その新潮社、「高校生に読んでほしい50冊」なる小冊子を拵えておりまして、
書店にも並べて無料配布しているのでしょうけれど、
そいつをぱらぱら眺めておりましたら、新しい作家の新しい作品入っているのはいいのですけれど、
そういうの、どれもこれも、「ライト」で「チープ」だなぁ……。と、隔世の感。


そんな「ライト」で「チープ」な作品でも、大多数の高校生にとっては、手にすることが少なそうであるという。


生徒の委員連れ出して、予算の中から好きな本を購入させるという試みもやっているのですけれど、
彼彼女らが選び買い求めるものの大半は、いわゆるひとつの「ラノベ」ばかり……。


昨年度末、珍しくまとまった予算が残っていて使えるというので、
池澤夏樹個人編集 世界文学全集 全30巻」(河出書房新社)ちゅの購入してもらったのだけれど、
借り出す者はおろか、手にしてみる者もただのひとりとてなし。


第1巻は、ケルアックの『オン・ザ・ロード』、無論、読んでますけど、新訳ですし、こいつを手始めに、
順番に30巻、オイラが、全部読んでやる。と、思っております。


それはともかく、


新潮社の「高校生に読んでほしい50冊」の中に、
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれる「使者」のお話ってぇのが紹介されておりましたのですけれど、


アタクシ、両親共既に鬼籍に入っておりますし、友人知人の何人かも、彼岸の人でありますが、
はて、誰かと会わせてあげると言われたら、誰を選ぶのであろうか?、
アタクシに、是非とも再会したい人、いるのだろうか? と自問致しました。


が、あのホラーの名作、W・W・ジェイコブズ『猿の手』を持ち出すまでもなく、


逝ってしまった人には、会わない方が、会えない方が、いいんでないかな? と、思った次第。


ま、そこまで大事な人をまだ失っていないから。と言えば、それはそうなのかも知れませんけれど……。


む〜ん。