罪作り

我が家にやって来る、小4から中1の女子、一部男子(笑)
昨日も今日もやって来ていたようだが、オイラが帰宅してきた時にはすでに姿を消していた。


のですけれど、


久方ぶりにやって来たという中1女子、
「看護師さんになりたいから、○○高校に行きたい。△△高校に看護師のコースあるんだけど、△△はちょっと難しそう。
 ○○高校にも看護師になるコースができたから、○○かな?」
と、言っていたと、相方から聞かされる。


中1の頃から、具体的に何々になりたい。などようのこと言うているということに驚くのだけれど、
それを聞いたオレ、「ちょっと待てよ……」と思う。


バンドマンにも、ライブハウスに出入りしている人にも、知り合いに、少なからず看護師という仕事をしている人がいて、
立派な仕事だと思っております。大変な仕事だと思っております。
とりわけ、女性にとっては、資格を有する仕事、生涯、そのスキルをもって働ける仕事であることも魅力なのだろうと思います。
誰でも持ってる教員免許(笑)なんぞにくらべて、ずーっと意味のある資格だと思います。


なのですが、


相方も中1女子の話聞きながら、そのあたりよくわかってなかったようなのですけれど、
今、高校3年を終えて、即、看護師の国家試験受験資格を手にすることのできるガッコなんてどこにもございません。


高等学校卒業後に大学・短期大学・看護師養成所などで3年間(大学は4年間)の教育を受ける。か、
准看護師の資格を取得してから2年間の教育を受ける。か、
高等学校の看護に関する学科において入学時から5年間の教育を受ける。か、がその選択肢。


要は、高校卒業後に、看護系の専門学校、短大、4年制大学に進学しなければ、看護師にはなれない。


にもかかわらず、本府にあるいくつかの高校、「医療看護コース」と銘打って志願者を募集している。
たぶん恐らく、ウチに遊びに来る中1女子は、本人も、その保護者も、その高校に進学すれば看護師になれるものだと思っております。


高校の「看護コース」は、看護系への進学を希望する高校生のために、
受験に必要な教科科目を多く受講できるようカリキュラムを工夫していたり、学校独自の看護入門講座を設定しているだけ。
国公立と私立で差はあるけれど、看護学校に進学するには、3年間(大学なら4年間)、毎年100万前後の学費がかかる。


そのことを、本人や保護者は知っているのか、どうなのか?
知らずに言っているのなら、それはとっても「罪作り」だと思うのです。
中学教師、ちゃんと説明してやれよ。やりなさいよ。と、思うのです。


今、オレが仕事している高校は、卒業していくほぼ全員が大学に進学するガッコ。
昨日今日と、「○○大に合格しました!」と報告に来る者が引きも切らなかったのですけれど、


その大学に進むには、年間100万、4年間で400万の学費がかかる。
国公立にしたところで、初年度80万、2年目からも50万強の学費がかかる。
奨学金でそれを補填しようとすると、卒業時に数百万の借金を抱えることになる。


オレが学生だった頃、国公立大学の授業料は、年間18万円。
自宅外通学の特別奨学生として受給していた奨学金、月額2万4千円(6千円だったかな?)。
仕送り、ほとんどあてにできぬ中、バイトで稼いだ金で、家賃に光熱費に学費、すべて捻出していた。


授業料は、親の収入を申告して手続きすると、ほとんど大抵、半額が免除になっていた。時に、全額免除になることもあった。
受給した奨学金は、教育公務員として規定の年数勤続することで、返還義務が免除された。


今、授業料の減免制度、どんな実情なのか、わからない。
奨学金の返還義務免除の制度は、随分前からなくなっている。


何度もこのブログで書いているけれど、


オレが、今、この時代に、高校生だったら、間違いなく、大学には進学できていません。
当たり前に大学に行こうとしているティーンズを前に、「教育」をする側には回っていません。
金のない家に生まれた者、育った者は、「教育」というものを受けたくても、「教育」を受ける機会が与えられない。


大学に通う学生たちは、授業料が値上げされようが、反対の声ひとつ上げるでなく、涼しい顔。
自分の学費が年間いくらなのかも、意識していない風情。実際、知らないのかも知れない。知る必要がないのかも知れない。


おかしいやろ?