届かなかったコトバ

「裏表のなさ」については人後に落ちない。
己の長所だと思ってはいるけれど、そのことで損をすることも少なくはなかった。


でも、心にもないことを口にしながら、上手く世渡りしようとか、つまらないヤツとも仲良くやりたいとは思わないので、後悔したことはほとんどない。


思っていること考えていることは、できるだけ正直に明け透けにコトバにしようと思っている。
無論、思ったことが正しいことばかりであるとは限らない。コトバの選び方を誤って、うまく伝わらないこともある。
それでも、自身の思ったこと考えていることは、できるだけそのまま飾らずにコトバにしようと思っている。


コトバにしなければ、己の間違いにも気づかない、コトバを尽くすことでしか、伝わらない。


そのことで、相手が傷つくかも知れない、相手を怒らせることになるかもしれない。
でも、可能な限りにおいて正直なところを、可能な限りのコトバを尽くして伝えようと思っている。


これは言えないということもないではない。
けれど、大抵の場合それは、自分にとって、元々言う必要すらない相手である場合が多い。


だから、


関わり合いの中で、繋がりの中で、大事に思う相手であればあるほど、
言うべきこと伝えるべきことは、その正直なところを、飾らずに、コトバにしようと思っているし、相手にもして欲しいと思っている。


のだけれど、


考えを、思いを、コトバとして聞くことのないまま、大事にしたいと思っていた繋がりがひとつ切れた。


切れるのは仕方ない。でも、コトバを聞けなかったことが、残念……。


言う必要すらない相手に成り下がっていたとしたら、更に残念……。