そしてボクは途方に暮れる

ブルーカラーの家に生まれながら、


柄にもなく、中学から6年続きの私立に行ったものだから、


囓り甲斐のないスネを囓りつつ(笑)、親の期待を裏切りながら、そこそこ好きなことをやってはいたものの、トータルとして、


楽しくはなかった。


周囲の連中と生活水準があまりに違いすぎた。別にそのことを恥じるわけでもなく、隠すわけでもなく日々を送っていたのだけれど、


生徒はもとより、一部の教師からもそのことを侮辱され貶められていた。面白かろうはずがない。


そこで、世の中にある理不尽と闘うことを覚えた学んだ。ので、それはひとつの収穫だったのかも知れぬ。


仲間を見つけてバンドやったりもしていたが、結果、中高の同級生で今もなお友人と呼べるような者はひとりもいない。


それはひとつの不幸である。


そんなこんなが、心の底に澱んでいるのだろう、時々夢を見る。


  登校途上のオレ、ガッコへの坂を上るオレの周りには誰もいない。時計を見ると、すでに遅刻。今日も遅刻。
  言い訳などする気もないけれど、家やら親のことあげつらって悪し様に言う教師の顔が目に浮かぶ。
  坂の途中の岐路に差し掛かって、ガッコへの道を見失う。そこはどこか知らない場所。あの娘への電話も繋がらない。


そしてボクは途方に暮れる……。