どこかで誰かが

前夜、十分ほど言葉を交わしただけの、


同じ病で手術、入院していた人含めて、同室の人たち、みな退院。


言葉交わした人とは、


「おめでとうございます。お大事に。そして、どうぞご無事で。もうここで会うことがありませんように」と、


奥さんとまだ幼い娘さんと一緒に去って行く背中を見送った。


だだっ広い四人部屋の病室ひとり、


待つ人がいて、待つ人のところに帰ることの喜びを思った。


オイラにも、


待ってるからね。帰って来いよ。


と、言ってくれる人がいますから、


もうすぐ、


帰ります。 うん。