ちんぷんかんぶん

週にひとコマだけ、文型(ウチの職場、文系じゃなく文型っていうている。変だね)の生徒らを対象に行っている「漢文」の授業。


いわゆるひとつの「問題集」なるものを活用しつつ、毎回いろんな文章の読解をやっているのですけれど、
生徒さんたち、漢文を読むという行為、いろいろハードルが高いようで、


頗るテンション低いのですけれど……(爆)、


「漢文」というヤツの常として、時々、面白い文章に出くわす。


例えば、


唐宋八大家の一人として有名な、蘇東坡(=蘇軾)が、とある地方に任官したその初日、ひとりの老僧が現れて、
「そなたに秘伝であるところの不老長寿の薬の処方を伝授しようと思うので、我が庵にしばらく逗留致さぬか?」と言う。
「なぜゆえ、私に?」と問う蘇軾に、老僧答えて言うには、
「わしも、そろそろ老い先が短くなり、あの世からの迎えが来るのもそう遠くない。だから誰かに伝えておかねばならん」


 って、おかしいやろ、この話……。薬を拵えて飲んだら死なないのと違いますのーん!(笑)


そして、


「この法はみだりに伝えてはならんぞ。欲深な人間がこれを行えば災いを招きますゆえ。だから、あなた以外に伝えるべき者はおらんのじゃ」
と、老僧は続けて言い、蘇軾はその法を伝授される。


かねてからこの法を手に入れたがっていた郡の長官、蘇軾がその法を伝えられたことを聞き知って、
あの手この手で、教えろ教えろ。挙句にどんな姑息な手を使ったのか知らないが、教えぬわけにはいかないようにもって行って、
伝え知り、その法を行ったところ、その郡の長官、馘首されて故郷にすごすご戻りましたとさ。
だから言ったじゃないの。しゃんしゃん。


というオチ。


なんだけど、


 不老長寿の薬作って飲んだのなら、仕事なんてクビになってもいーじゃーん!


と、オレは思うのですが、そのあたりのことについては何の説明もござらん。
根本的なところで、プロットが崩壊しているという、けったいなお話。わははのは。


なのですが、生徒さんたち、それほど面白くないよーで……。


でもって、お次が、百年近く前に書かれたよーなのですが、


日本の国の人たちの多くは、鰻を食すことを好みます。
だけんどもしかし、鰻には「霊力」が備わっていて「祟り」を為すというので、人々はみな自らの手で鰻を殺すことは致さない。
いわゆるひとつの「飲み屋」の主人が、客に代わって包丁を握るのが常であります。
ある夜、酔っ払いが数名、「今日は鰻で締めようぜ」と思ったのかどうなのか、夜が更けて、すでに店じまいしている「飲み屋」の門を叩いて、
「おーい、鰻はありますかえー?」と訊いたところ、
店の者すべて寝静まっている中、生簀に飼われていた鰻たち、声をそろえて、「ありませんよ〜!」と答えたという。
その声を聞いた店の主人、びっくらこいて、翌日、うなうなたち全部逃がして店を畳んだそうですよ。とっぴんぱらりのぷ。


というお話。


百年も前から日本人、鰻ばっか食ってるから、ついに昨日12日をもって、
ニホンウナギは、国際自然保護連合によって、レッドリストに載っけられ、絶滅危惧種と相成ってしまったのですな。


おもしれーじゃん、この話。うひゃ〜!


なんだけど、


生徒さんたちの多くは、別におもしろくもなんともないよーで……、


うなうなに、祟られますぞよ(爆)