パワー・プッシュ
街に繰り出した時、今さらのように気づくのは、
楽器を抱えて移動している人の多さ。
世間には音楽をやっている者、掃いて捨てるほどいる。
それは別に悪いことではない。決してない。
ですけれど、音楽をやるからには、そのうち誰かさんの前で演奏披露披瀝したくなるわけで、
やりたい需要に見合うだけ、やらせてあげる場所もまた立ち現れる。
そして、
やりたい人の数に見合うだけ、聴きたい人の数があれば良いのですけれど、
残念なことに、世の中、そういう風にはできていないわけで、
やらせてあげるハコの多くは、やりたい人から「ノルマ」という名のお金を頂戴することで、
いないお客の分のチケ代を出演者から巻き上げて、インディーズと言えば聞こえはよいが、アングラの音楽シーンは成立している。
名の売れたバンドやアーティストのライブにはン万円出して足を運んでも、インディーズバンドの演奏を千数百円出して聴きに行く者はごく少数の例外。
なのだけれども、行けばわかるが、著名なバンドやアーティストだけが「素敵な音楽」やってるわけでもない。
インディーズ・アングラのバンド、アーティストにも「素敵な音」を出す連中は少なからずいる。
のだけれど、
いい音出してりゃ、お客が集まるかというと、必ずしもそういうわけでもないから話はややこしい。
あまたあるライブハウスの中には、
「ど」のつく「素人」さんたちをおだてて、ノルマ吐き出させることで儲けているハコもあれば、
出演させる人、呼ぶ人、それなりに選んで、時には儲けも度外視で営業しているハコもある。
ライブハウスなんちゅの、劇的に儲かる商売じゃないのだから、ハコはハコで、元々は音楽が好きだから始めたわけで、
ノルマ回収すればそれでいい、或いは、自身の好きなバンドマン集めるだけでいいと思っているわけでなく、
純粋にどうすれば「集客」できるのか?音楽を聴きに来てもらえるのか?ということを考えているわけで、
そのことに日々アタマを悩ませているわけだから、
外野があれこれ言ったところで、たわごと世迷い言に過ぎないのですけれど、
もし、オイラが、ライブハウスのよーなものを経営するなら(できませんけど)、これは必ず致そうと思うこと、
どのハコも本気でやっていない、できていない、やろうとしていない、と思うこと、
それは、
自らのハコに出演しているバンド・アーティストで、こやつらをこやつを、本気でプッシュしたいと思うものがいたならば、
ハコのホムペやハコそのもので、そのバンド・アーティストが、どれどのような音楽をやっていて、どれどのように素晴らしく素敵であるかを言葉を尽くして語ること喧伝すること。
ホムペに「ピックアップ・イベント」や「ピックアップ・アーティスト」のページを設けているハコ、ないではないけれど、
「ピックアップ」された「イベント」がどんな日なのか?「ピックアップ」された「バンド」や「アーティスト」がどんな「バンド」なのか?アーティストなのか?ページを見ただけでわかった例がない。言葉を尽くして語っているハコ、お目にかかったことがない。
自身が音楽やっていて、ライブハウスに出演しているオイラでも、「お〜っ!」と思うバンド・アーティストに出会うのは、
たまたま対バンした時だったり、知り合いのバンドのライブに出掛けた時の共演者だったりした時だけ。
今夜はどこかで何かやってないかしらん? と、チェックする時、
それは、今夜は「知ってる誰か」がどこかでやってないかしらん? と、チェックすることと相成っている。
自分の知ってるハコが、自分の知らないバンド・アーティストを言葉を尽くしてプッシュしていたら、
「行ってみようかな?」
と、アタクシなどは思いますが、 他人様はそーでもないですかしらん?
ふらっ〜とライブハウスに飲みに行く遊びに行く、音楽を聴きに行く、という文化の醸成を期待しても無駄のようにも思いますですが、
取りあえず、お客さんがみな、出演者の誰かのお知り合い。という状況が、ちょっとでも変わればいーと思うんですが、
無理か? 無理かなぁ……。
そして、ハコがプッシュしたいバンド・アーティストを、言葉を尽くして語るとして、
モンビジが語ってもらえるかどうかは、
Just another story......(笑)