当世通信事情

いわゆる事情通というのは、この世界に掃いて捨てるほどいるわけですが、


ネット関連関係の、光と闇や、功と罪について、
わかったような顔をして青少年少女の前で話したりすることのあるアタクシですが、


知らないことあって驚く。かなり驚く。


昨今の青少年少女らのほとんどがスマホ握りしめ、
twitterやらLINEを中毒的に用いながら、その日常生活に占める時間の多くを奪われていることは、よく存じております。


でもって、誰が何をどういう使い方をしようが勝手であるとはいえ、


twitterがフォロー&フォロワーだけでなく、全世界に発信しているという自覚もないまま使用して墓穴を掘るうつけ者がいることも知っております。


かてて加えて、


ネットという世界は、匿名性の殻を被っていれば何を言っても、何をやっても構わないのだと勘違い甚だしく、自身がどこの何者かがわかるような場面では、絶対に口にしないようなコトバで、破廉恥きわまりないコトバの数々を垂れ流すことに喜びを感じながら、自身が垂れ流したコトバには何の責任も持たないし、持つ必要すらないと思っている哀れな人々が無数に存在していることも知っております。


のですけれど、


昨今の青少年少女たちが、
自身の持っているスマホガラケーの電話番号&メアドを、ほとんど誰とも交換し合わないという事実を知って、


かなり、びっくらこいたのだった。


そりゃ、オレにしたところで、twitterFacebookで繋がっているだけで、番号もメアドも知らないながら、
DMやらコメントで、やり取りし合っている人もいないではない。


のだけれど、そこそこ親しい関係になれば、「番号&メアドを交換致しましょう」という運びになるのが普通。


だと思っていたら、


青少年少女たちは、ごくごく近しい人か、彼氏彼女でもない限り、クラスの友人、部活の仲間、その他もろもろとは、
番号&メアドは交換しないのがフツーなのだという。


連絡&やり取りはLINEで、個人的な話ならtwitterのDMで行えば事足りるから、番号&メアドの交換は必要ないのだという。
逆に言うと、大袈裟に言うと、LINEにtwitter、やっていないと生きていけない。


疎遠になればフォロー&フォロワーから外れる。イヤになった相手はブロックする。
都合の悪いことあれば、自身のアカウントをそのまま放置するか削除して、別のアカウントで新しい人間関係の中に入っていく。


合理的っちゃ合理的、ドライっちゃドライ、なのかも知れないけれど、


それでいて彼彼女らは、


自分は自分と割り切ることができずに、
自分のことを誰がどんな風に思っているか、自分のことを誰かが何か言ってはいないかということを、いつも気にしながら、
それでいて、目立つこと、仲間はずれになることは必要以上に恐れながら、


一日中、LINEやtwitterの動きを気にしながら生きている。


あの人たちと繋がるのはこのアカウント、また別のこの人たちと繋がるのはこのアカウント、と、複数の顔を使い分けながら彼彼女らは生きている。
LINEでは、自身が所属しているグループが、今の自身の立ち位置を示している現している。


連絡するのに便利なツール、自分と関わりのあるあの人が、今どうしているのかを垣間見るためのツール、
自身のやっていることを、不特定多数の人に知ってもらうため、広めるためのツールであることを超えて、


LINEやtwitterの中にこそ、彼彼女らのアイデンティティーは存在しているかのようで、


携帯と携帯とがダイレクトに繋がることすらも遠ざけ始めているように思われる彼彼女らは、


一体、どこへ行くんだろう……。