ケービの味方

夏に入って、
我が職場、老朽化した建物の一部を、耐震対策込みで大規模改修工事中。


3年生まだ授業している中、蝉の声と、時折大きな音のする現場作業に、
集中できない。との、声もあり。


なのですが、


工事の業者とともに、門の所に警備のオジサンひとり。


オイラもオジサンなので、オジサンがオジサンにオジサンと言うのどうかと思うが、
警備の方は、オジサンなので、オジサン。


オイラも出勤は8時前、早い方だが、それより早い時間から、遅い時間まで車両の出入りを中心に、終日門の所に待機されている。


長袖長ズボンに安全靴、分厚い手袋とベスト着用で、ヘルメットを被っておられる。
日蔭の涼を求めておいでのようだが、このピーカン、日差しを避けられる時間と場所は限られている。


オイラが出入りするたび、こちらの挨拶に、真っ黒な顔でにこやかに挨拶してくださる。
一日中、ひとり佇んでいる仕事だから、言葉を交わすこと、心の潤いなのでしょう、二言三言言葉を交わす。


「ダイジョブですか、テキトーにサボってご無理なさらないでくださいね(笑)」というこちらの言葉に、
「いやぁ、立ってるだけの仕事でお金もらってますから」と、仰る。
「センセーは、授業しなくちゃいかんでしょ。大変ですわ」と、仰る。


自転車女生徒の、「チェーンがはずれちゃって……」という申し出に、
「これ、伸びきってるから、またすぐ外れるよ。自転車屋さんに行って、詰めてもらい」
「今日、これで三人目ですわ。ボクは自転車屋さんと違うんやけどなぁ」
と言いながら、直してやっておられる。


時給なのか、日給なのか、詳しいことは知らないけれど、


オイラ、この仕事とてもできません。たぶん、一時間で座り込みます。
時給なら2500円、日給なら20000円は頂かないと、引き合わないと思うのだった。


オイラにしても、事務方から「デマンド警報が鳴ったのでエアコン止めて、電気代の削減に協力してください」と、言われて、
まーったくぜーんぜん、エアコンがきかず、室内温度32度プラスマイナス1度、湿度70%超の部屋で、
額に脂汗流しながら、活字を追っているわけで、なかなか仕事ははかどらない。


なのですけんど、
エアコンのきいた部屋で、汗もかかず、やっつけ仕事の流れ作業で、月収100万ちゅ人も世の中にはいるわけで、


でも、門のオジサンは、そういう世の中を恨むでもなさそうに、真っ黒な顔に白い歯を覗かせて、


今朝も、「おはよーございまーす!」
夕刻も、「おつかれさまでしたー!」


と、挨拶を返して下さるのです。


世の中、不公平だよな……。