漂泊の思ひやまず

今日の朝刊は、まだ読み甲斐があったので精読。日常感覚が戻って来つつある中、
文字通り、食っちゃ寝、呑んじゃ寝の自堕落。


テレビのスイッチ入れて、買ったまま放置して1年になろうかというDVD、
Ashくんの部屋にも同じもの転がってて、趣味嗜好の共通性に呆れたDVDを見る。


あえてタイトル書かないが、70年代後半製作のいわゆるひとつのロードムービー
当方、旅に出ることほとんどない生活を送っちゃいるが、ロードムービーには目がない。


何を以てロードムービーと称するのか、何を以て定義するのか、微妙なものもあるにせよ、
要は、移動がモチーフになっておる映画ということに致すと、


イージーライダー』、『真夜中のカウボーイ』、『スケアクロウ』、『ペーパー・ムーン』、『ハリーとトント』、『テルマ&ルイーズ』、『ストレイト・ストーリー』etc.etc....
フェリーニの『道』や、『俺たちに明日はない』、『幸せの黄色いハンカチ』もロードムービーですわな。


そして、ロードムービーと言われれば、
個人的にはやはり、『パリ、テキサス』に『ストレンジャー・ザン・パラダイス』と来るわけなのだが、今回見た映画、この2作より古いっちゅのが、ちょっと意外。


  兄貴の急逝知らされた弟氏、車で自身の暮らすロンドンから兄貴が暮らしていたブリストルの家に向かう。
  途中、いろんな人に出会う。That's All.


なのだが、この弟氏、工場勤務の傍ら、ローカルラジオ局でDJをやっているという設定。映画のバックに流れる楽曲も悪くない。


で、映画の内容、本編とは関係のないところで、


「労働者」でありつつ、「DJ」だったり「バンドマン」だったりしている者のことを思った。
社会的地位やら立場やら、そういうものとは別の所で、「DJ」とか「バンドマン」であるということ。


この国にあっても、現在にあっても、オイラの周りには、そういう人たちがたくさんいて、
彼彼女らに対しては、「くだらないことやってないで、真面目に働け」と言いそうな人が多そうなのだが、


そういう彼彼女たちの中にこそ、アートやら文化というものは息づいていて、渦巻いていて、
そういう「根っこ」というのがなければ、音楽にも、文学にも、絵画にも、映画にも、
「まともなモノ」、「取るに足るモノ」、「耳を傾けるべきもの」は、立ち現れて来ないと思うのだった。


「漂泊の思ひ」やまぬ者たちに、乾杯。