不自由競争

同じスタートラインからヨーイ、ドンッ!


だと見せかけている受験システム、その実、絶大なる資金投入を余儀なくされるシステム。
オギャーとこの世に生まれ出たその日から、スタートラインは同じではない。


問題は経済力のあるなしだけには留まらない。


親の学歴や、職業や、文化への関心といったものどもがない交ぜになって社会階層というものが形成されている。生まれ育った家庭の環境が、子の学習意欲や学力に影響を及ぼし、社会階層は再生産させて行く。


高校の授業料を無償化したところで根本的なことは変わらない。
学区を撤廃し、選択の自由を広げたところで何も変わらない。


夢を持とうにもなかなか夢を持てない若者がいて、
同じスタートラインからスタートして、自身の力でそこそこ前の方を走っていると思っている若者がいる。


オレの親は中卒で、ブルーカラーだったが、新聞は読んでいたし、読書の習慣も持ち合わせていた。映画ぐらいが娯楽だった時代に、スクリーンにはそこそこ知的で文化の香りがするものが映し出されていた。子に教育を与えることへの関心も高かった。それはひいては、自分たちが子に縋って生きて行こうという打算からではあったけれど。


オレは、中高一貫の私立校を経て、国立の大学を出た。
そんなこんなで、社会階層の再生産から離脱した。たぶん。


でも、オレのような環境にある者は、
今のこの時代にあったら、再生産のループからはなかなか離脱できないように思う。


離脱というほど大した仕事に就いているとは思わぬが、


ある再生産のループから、別の再生産のループの中へとシフト・チェンジしたここ数日、


なかなかに強い違和感。


この場所で、どんな立ち位置で、何をなすべきか、考え中。