目は口ほどに

地下鉄某線某駅のホーム、


とっつあんを導く盲導犬
オレの隣、とっつあんが座る駅のシートの前で静かに伏せて待機。
乗り込んだ車内。オレの正面、とっつあんが座るその前に静かに待機。


とっつあんに首筋さすられながら周囲に注意払いつつ、
正面に座ったオレを見つめる「彼」か「彼女」の目は、


優しく涼しく穏やかで、どこまでも澄んでいた。
同じ車内の人々が、とっつあんとその相棒に向けるどの好奇の目よりも、純粋で打算のない目をしていた。いい顔をしていた。


性格や感情や知性というのは、目に、表情に出るもんだな。と、思った。
オレの目は、オレの顔は大丈夫かしらん。と、向かいのガラスに写る自分の顔を確かめた。


負けているような気がした。


愛されながら、長生きしろよ。 な。