メメント・モリ

朝刊を開くと、まず「訃報欄」を見る。


という男の出てくる小説があった。なんだったか忘れたけれど。


毎日、いろんな所でいろんな人が逝き、いろんな所でいろんな人が生まれ来る。


そう言えば、亡くなることをこの国の人々は、


「息を引き取る」という。


旅立つ者は、


己の「息」を自身で「引き取って」彼岸に去って行くわけか。


改めて眺めていると、「潔い」言葉だなと思った。


誰かに何かを残すことはできても、誰かの何かを引き取って向こうには行けない。


誰に、何を、残したいのか、残そうとするのか。


その答えのありようが、「人となり」を作る。


最期に自身が引き取れるのは、己の「息」だけ。 まさに。