Grapefruite Moon

きょーしせーかつ25年っ!


っちゅのは、"ど根性ガエル"町田センセの決めゼリフだが、
まさか自分がそーゆーことになろーとは、想像もしてなかっただけに洒落にならん。


のだけれど、それだけこの商売やってると、


何回同じこと授業でやってますねーん!という教材テキストありまして、


またぞろやってる『山月記』。生徒は初めて『山月記』。MS-IMEだと変換してくれない『山月記』。ATOKは変換してくれる『山月記』。


ま、興味関心持ってくれる生徒さん、今の職場じゃ激少ではありますが、
そして、うひょーと飛びついたティーンエージャーだった頃とは違って、目の肥えた今となっては、あざとさや底の浅さも目立つ作品なのではありますが、


それはそれ、オレが高校の頃から教科書に載っかってた定番教材。
いつから採られているのか調べてみたが、いついつからなのかすぐにはわからんくらいの定番教材。きっと、70絡みのオッサンオバハン、もはやジーサンバーサンも、高校の時に読んだと思われる定番教材。


で、精読した回数、日本語操る人の中で多い方から数えてかなりの上位に食い込むであろうオレ、


今、また読んで、


この話は、途轍もなく痛い……。


リアルな李徴、近くにいたわけで、


そして、


ちょっとしたボタンの掛け違えがあれば、オレだってそうなっていたかも知れないなと思うわけで、


<隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。>


偏差値極めて高い大学、大学院まで進んだ後、教職に就いて今の職場に着任、


性、狷介、だったかどうかわからぬが、


自ら恃むところ頗る厚かったかどうか、多分恐らく厚かったと思われるが、


賤吏に甘んずるを潔しとしなかったのかどうか、多分潔しとしなかったのだろうが、


<闇の中へ駈出した。二度と戻って来なかった。>


プライドというヤツ、なくても困るが、あればあったで人を狂わせる。


オレにもプライドというヤツ、ないわけではない。寧ろ、強固に堅牢にあるのかも知れぬ。
ただ、そのプライドが己を蝕み苛み、自身を壊してしまうかどうかはまた別のお話。


オレは自身の中にあるそれを、何とか飼い太らせることもなく、テキトーに飼い慣らしながら、今に至る。


だから、オレは虎にならずに済んでいる。


でも、


<才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡て>


なんじゃないの? と言われたら、


「そうかも知れません。相済まんことで」と言うしかないのかも知れず、


ニンゲンという生き物、


悩んで強くなるか、潰れちまうかは紙一重……。


Tom Waitsが聴きたくなった。


 Grapefruit moon, one star shining, shining down on me.
 Heard that tune, and now I'm pining, honey, can't you see?
 'Cause every time I hear that melody, well, something breaks inside,
 And the grapefruit moon, one star shining, can't turn back the tide.