造反有理

高校ん時、いわゆる「生活指導担当」の教員に目をつけられておりまして、


そりゃ、煙草吸ったりしてましたし酒飲むこともありましたが、
校内やガッコの近くは言うに及ばず、天下の往来闊歩しながらプカプカしたりは致しませんでしたし、酒にしたって、然るべき閉鎖的空間でひとりウイスキーの水割り舐めて酩酊するくらいなものであって、


別に門限あったわけでもないが、いかがわしい場所に出入りしたり、深夜徘徊するなんてことじぇーんじぇんなく、


文庫本読んでるか、テレビで映画観ているか、ヘッドホンつけてレコード聴いてるか、ギター弾いてるだけの、彼女の「か」の字もない、ガッコと自宅往復するだけの、ただの青臭い文学少年でした。


たまーに(いや時々か?)、ガッコサボって、
茶店でレモン・スカッシュ飲みながら小説読んだり、
ひと駅乗り越して、動物園でひとりボサーッとしたりはしとりましたが、


そんなオレがどーして目をつけられたかっつーと、
それはひとえに髪型と制服の着こなし(そして、オレん家がブルーカラーで裕福じゃないところ)が、その教員のお気に召さなかったというだけのこと。


オレのガッコ、
髪型は「刈り上げ」が原則。耳・襟に髪がかかってはいけません。
海軍兵学校然とした飾線入りの濃紺の制服は襟にカラーを装着し、襟元までしっかり止めねばなりません。
制服の下には、これまた指定の校章入った白いワイシャツ着用せねばなりません。
制帽(あるんだなこれが)は、水平にしっかり被らなければなりません。あみだに被ったり、目を隠してはいけません。


というトコで、


オレ、別にロンゲってわけでもなく、散髪嫌いで不精してるから、だいたいいつも周囲より長め。
中学ん時から着続けてるから、制服の襟元しめると苦しいから襟は外してる。
制服の下に着用するから見えるわけじゃないのに、高価で日常着ることもできんワイシャツ買うのバカげてるから、その辺で買ったシャツ着てた。
いい歳こいて制帽なんぞ被りたくねーんだが、ま、被ってやるよって感じで、目元隠すように斜めにアタマに乗っけてた。


それが、この上なく気に入らなかったのであるらしい。
で、オレという人間、昔から「理の通らぬことそのままにしておけない人」だったので、「髪型」やら「制服」についてのみならず、校則のすべてについて、常にその意味を問いかける人であったのだが、それがまた小癪であったらしい。
この人権感覚ゼロ(この話、し始めると長くなるので割愛)の最低教師、東大や京大の数学の入試問題解きほぐせても、オレの発する問いに対して、オレが納得するような答えを導き出すことできなかったから。


で、何度か、「全校集会」なるもので壇上に呼び出され、
「これが、ダメな生徒の見本である!」と、晒し者にされたりしたのでありますが、
オレは、心の中で「可哀想なヤツよのぉ」と思いつつ、成績優秀ならまだしも、成績も下の方だったもんで、このまま中途退学したら成績不振でやめたと思われるの癪だから、そのガッコ卒業してしまったのですが、


その「全校集会」で「良識ある生徒の見本!」と言われた同級生、超一流大学お出になったのに、どうやら母校で教員しているらしい。


一方、「劣等生代表」のオレ、公立高校の教員で、現在ただ今、生徒指導の担当している。


同級生のことは知らんが、先のバカ教師がまだ生きてたら、
「アンタはカスだったなぁ。オレの方があんたより1万倍、いや百万倍まともなセンコーしているよ」と言ってやりたい今日この頃。


謀反にこそ正しい道理がある。反抗するには理由がある。


ここ数年は、道理も理由もなーんにもない悪行の対応に忙殺されておりますが……。